パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)は、株主への利益還元だけでなく、社会的価値の創出も同時に追求する企業形態です。従来の株式会社が株主価値の最大化を主な目的とするのに対し、PBCは定款に明記された公益目的の実現も経営判断の重要な基準となります。
日本では、岸田文雄首相が提唱する「新しい資本主義」の実現に向け、社会的な課題の解決を事業の目的とする新たな会社形態としてPBCの導入が検討されています。
社会的企業とは、慈善活動やボランティアではなく、ビジネスとして社会的な課題に取り組み、解決する事業体を指します。これらの企業は、社会的事業や社会的責任投資(SRI)の実践者として、「新しい公共」の担い手として注目を集めています。
PBCは、社会的企業の一形態として位置づけられ、法的に社会的使命を追求することが求められます。これにより、企業は短期的な利益にとらわれず、中長期的な視点で社会課題の解決に取り組むことが可能となります。また、PBCは公益を追求・提供する内容を詳述した年次報告書を公開し、社会的・環境的なパフォーマンスについて第三者機関から評価を受けることが特徴です。
教育分野においても、民間教育企業が社会課題の解決を通じて公教育への進出を図る動きが見られます。例えば、過疎地域における自治体と学習塾の連携などが挙げられます。
PBCの導入は、社会的企業の法的認定を通じて、企業が社会的価値の創出に積極的に取り組む環境を整えることが期待されています。これにより、企業が「新しい公共」の担い手として、社会課題の解決に貢献することが可能となります。