ENPP(Effective Number of Parliamentary Parties / 有効政党数)は、選挙や議会において「実質的にどれだけの政党が存在感を持っているか」を数値化する指標。

単に政党の数を数えるのではなく、大政党と小政党の影響力の違いを反映できる。

  • 得票率ベース(投票の多様性)

  • 議席ベース(議会内の権力分布)

この2つの計算方法がある。


数式

ENPPの基本式は以下の通り(Laakso & Taagepera 1979 による定式化)。

ここで:

  • = 政党数

  • = 政党 の得票率または議席率(小数で表す)


例:単純計算

  1. 政党A: 50%(0.5)

  2. 政党B: 30%(0.3)

  3. 政党C: 20%(0.2)

この場合、名目上は3政党だが、実質的には約2.6政党が拮抗していると解釈できる。


得票率ベース vs 議席ベース

  • 得票率ベース: 国民がどれだけ多様な政党を支持しているか。民意の多様性を示す。

  • 議席ベース: 議会における権力分布。実際の政治運営に近い。

両者を比較することで、**「民意と権力の乖離(ディスプロポーショナリティ)」**を測定できる。

たとえば比例代表制では両者が近く、小選挙区制では差が大きくなりやすい。


活用例

  • 政党システムの多党化・二党化を定量的に比較

  • 制度設計の分析(比例代表制か小選挙区制か)

  • 民意と権力の歪み(disproportionality)の研究


関連概念

  • ENEP(Effective Number of Electoral Parties): 得票率ベース

  • ENPP(Effective Number of Parliamentary Parties): 議席ベース

  • ディスプロポーショナリティ: 得票と議席の乖離