通訳がいなかった時代、人々は身振りや指差し、物々交換などを通して意味の対応を作り出していた。
この「意味の対応」は、長い時間をかけて次のように進化した:
- 身振り・指差しによる共有(前言語的段階)
- ピジン(簡易共通語)
- クレオール(母語化した共通語)
- リンガ・フランカ(社会的共通語)
言語以前
通訳も文字もない時代、人々は以下のような方法で意味を共有していた:
- 身振り手振り、指差し、表情
- 模倣や物の交換(魚⇄穀物など)
- 共通の経験(火・水・食べ物)を基準にした理解
この段階では、「言葉=世界の一部」として扱われ、まだ抽象的な概念は少なかった。
「生の辞書」としての人々
戦争や交易によって、両方の言語を少し理解する人々が現れた。
彼らは「通訳」という職名ができる前から、自然発生的に橋渡しをしていた。
- 古代エジプトとメソポタミアの間の使節
- 漢と匈奴の交流での「胡人」通詞
- 日本でも遣唐使に同行した「通事(つうじ)」
言葉の写像を文字に落とす
文化が発展すると、人間は言語間対応を文字で固定し始めた。
これにより、知識が世代を超えて伝えられるようになった。
歴史的な例
- 紀元前2300年ごろ:シュメール語-アッカド語対照表(最古の辞書)
- 奈良時代:『新撰字鏡』(漢字と日本語の意味対応)
- 古代エジプト:ロゼッタ・ストーン(ヒエログリフ・民衆文字・ギリシャ語の三言語対訳)
これらは、言語間写像の最初のデータベースといえる。
ピジン・クレオール・リンガ・フランカの進化
| 段階 | 名称 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|---|
| ① | ピジン | 異言語間で作られる簡易共通語。文法が単純で母語話者がいない。 | トク・ピシン(初期) |
| ② | クレオール | ピジンが母語として定着。独自の文法体系を持つ。 | ハイチ・クレオール語 |
| ③ | リンガ・フランカ | 異なる母語話者の間で社会的共通語として使われる。 | 英語、ラテン語、フランス語 |