自分の得意なこと・苦手なことを他者に伝える際のフレームワーク。単なる「できない宣言」ではなく、協働のための情報共有として設計することで、誤解を防ぎ、建設的な関係を築く。


4ステップ・フレームワーク

Step 1: 自己整理(非公開)

まず自分の中で特性を棚卸しする。この段階では外に出さない。

質問リスト:
- 何をしているとき、時間を忘れるか?
- 何をしているとき、異常に消耗するか?
- 過去に「なぜかうまくいった」パターンは?
- 過去に「なぜか失敗した」パターンは?

Step 2: 言語化(特性+条件+代替手段)

苦手を伝えるときは、3点セットで構成する。

要素説明
特性何が苦手か
条件どういう状況で問題になるか
代替手段どうすればできるか

変換例

❌ 「報告が苦手です」

✅ 「同期の口頭報告が苦手なので、非同期の文章報告だと精度が上がります」

変換例

❌ 「マルチタスクができません」

✅ 「複数タスクの同時進行だと精度が落ちるので、1つずつ順番に処理させてもらえると品質を担保できます」

Step 3: 開示の判断(目的・相手・場)

全員に全てを開示する必要はない。

graph TD
    A[開示すべきか?] --> B{この情報がないと<br>協働に支障が出るか?}
    B -->|Yes| C{相手は<br>信頼できるか?}
    B -->|No| D[開示しない]
    C -->|Yes| E{適切な場か?}
    C -->|No| D
    E -->|Yes| F[開示する]
    E -->|No| G[場を改める]

開示の判断基準:

  • 目的: 何のために伝えるのか(配慮を求める?誤解を防ぐ?)
  • 相手: この人は情報をどう扱うか
  • 場: 1on1か、チーム全体か、文書か

Step 4: フレーミング(人格 → 作業設計)

開示するとき、人格の話ではなく作業設計の話として提示する。

避けるべき表現推奨する表現
「私は○○な人間なので」「○○という作業形態だと」
「性格的に無理です」「この条件だとパフォーマンスが落ちます」
「できません」「こうすればできます」

なぜこの形式が必要か

「苦手です」だけだと起きる誤解

発信者の意図: 「適切な配慮があればできる」
受信者の解釈: 「やる気がない」「逃げている」「能力不足」

代替手段を添えると起きる変化

発信者の意図: 「適切な配慮があればできる」
受信者の解釈: 「条件を整えれば戦力になる」「自己理解ができている」

テンプレート

苦手を伝えるテンプレート

【特性】○○が苦手です。
【条件】特に△△という状況で顕著です。
【代替】□□という形式であれば、精度/速度/品質を担保できます。

得意を伝えるテンプレート

【特性】○○が得意です。
【条件】特に△△という状況で力を発揮します。
【活用案】□□のような場面で貢献できると思います。

実践例

例1: 会議

❌ 「会議が苦手です」

✅ 「議題が事前共有されていない会議だと、その場で意見をまとめるのに
    時間がかかります。アジェンダを前日までに共有いただけると、
    準備した上で参加でき、発言の質が上がります」

例2: 電話対応

❌ 「電話が苦手です」

✅ 「突発の電話だと情報を聞き漏らすことがあります。
    可能であればSlackやメールで連絡いただけると確実です。
    電話が必要な場合は、事前に『○時に電話します』と
    一報いただけると準備できます」

注意点

過剰開示のリスク

  • 全てを開示する必要はない
  • 業務に直接関係ない特性まで伝えると、かえってラベリングされる
  • 「この人は面倒」という印象を与えるリスクもある

相手を選ぶ

  • 理解のある上司・同僚と、そうでない人がいる
  • 最初は信頼できる少数から始める
  • 反応を見て範囲を広げる

関連ノート


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